「持続可能な発展」、この言葉は、プミポン前国王のお言葉で、国民が自分たちの手で真の持続性へと導く発展モデルとして謳われたものである。農業においては、「持続可能な農業」が、全ての関係各所が協力し合って推し進めていくべきものとされた。
タイは、先祖の時代から、農業に適した土地を持ってきたが、悲しいことに、森を宅地やショッピングセンター、工業生産用工場に開発するといった外的要因によって、農業用地を削ってしまっただけでなく、農家や関係者もかつては豊であった自然資源の減少や衰えに関わっているのである。特に、消費者にいち早く供給するために農薬を使い収穫を急いだことで、環境のバランスを崩してしまった。土や水の質を落としてしまっただけでなく、消費者や農家自身にもその影響が降りかかってきた。収穫を急ぐことは、間接的に赤字を急ぐことになってしまったのである。農家は負債を抱え、生活の質も落ちてしまった。消費者も、注意する間もなく健康被害の危険にさいなまれることになった。
質の低下した土や水、そして健康も害されていった…しかし、ここで多くの人が気付き始めたということは幸運なことだろう。先祖が営んできた自然のやり方に立ち返ることが注目されるようになり、まさに有機農業がそれに当たる。持続可能な農業の一つの方法である。命を永らえ、人間の営みに必要な食物を生み出す場を長持ちさせる。
有機農業は、始めてから結果を得るまで時間がかかる。農薬を使ってきた土地は、一度休ませて、農薬濃度を薄めてからでなければ栽培を始めることができない。この時点で気持ちが萎えてしまう人もいるかもしれない。しかし、やってみれば、必ず価値があるということを信じて欲しい。始めたばかりの頃はやり方を変えるということに戸惑い、疲れてしまうこともあるかもしれない。しかし、家族の皆が安心して食べることができる収穫物を得るということは、非常に価値のあることだ。以前のように仲買人に価格を抑えられていた時代に比べて、現代は、インターネットにより消費者にコンタクトしやすくなり、直接消費者に販売することが可能になった。
中には得意客を持つ農家もいて、毎月安定した収入を得ることにつなげている。中には、観光農園として一般に開放することで、商品の販売に奔走しなくても収入を生み出している農家もある。
消費できずに余った青果類は、食べ物や日用品に加工することも出来る。
自然農業、混合農業、有機農業、新しい理論の農業等、持続可能な農業をやってみたいと思っても何から始めたら良いか分からないという人は、「持続可能な農業及び農家のための技術政策部門」という農業組合省の持続可能農業担当部署がアドバイスをしてくれ、
のページからも情報を得ることが出来る。今後5年、10年先には、持続可能な農業用地が拡大されていて欲しいと思う。安定した収入を得、安全な人生を送れるようになり、農家も幸せになり、消費者もより良い健康を手に入れて、良質な食事が年中いつでも食べられ、地球も生き返り、もう一度自然の豊かさを取り戻せるような…そんな未来を心から願っている。
ライター
パーラニー・ルートワタナーソンバット
フリーライター
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