2,3か月前に遡ること、タイ的なドラマシリーズを見るのが好きな人なら、OPEN MIND PROJECTの名前を聞いたことがあるだろう。このOPEN MINDシリーズは、プロジェクトの名前のストーリーが目指すものは、「心を開く」こと。消費者が心を開き、生産農家が心を開き、その他の分野で農業に関わる人たちも心を開く。持続可能な農業や安全な農業の重要性についてより気付きを持たせること。実際、農業にまつわる事柄は、我々全ての人間ににまつわる事柄でもあるのだ。人は皆、食べなければならない。農業によって得られる食物を食べる。それが安全なものでない場合、消費者である我々が、直接的にその影響を受けることになるのだ。これそがOPEN MIND PROJECTの由来なのだ。
LOSTの回の初回には、LOSTがアンジーについて語る。アンジーは、グルメなネットアイドルとして知られ、「お腹いっぱい食べてアンジーのところでストップして」のページ主でもある。しかしある日、アンジーが忽然と公衆の面前に姿を見せなくなった。その理由について知る者はおらず、アンジーはどこに行ってしまったのか、と問題になった。
アンジーの消息を追っていくと、アンジーのマネージャーで金銭的な損得で仕事を入れるバオウィウという人物に行き当たる。アンジーの健康や休息のことなどお構いなしだ。そしてもう一人、番組のカメラマンをしているナット。アンジーとは大学時代から、個人的に友達で写真を撮っているという立場だ。きれいな写真を撮りたいという欲求のために、アンジーが食べる料理の多くが、さらに飾り立てられた。また、レビューを得た料理の多くが、安全なのかどうか、その出所が分からないものだった。
我々が毎日口にしている料理や素材も同様だ。つい最近取り上げられた驚きのニュースだが、タイの有名小売店で販売されていた野菜に41パーセントという高い割合で農薬が残留しているとの検査結果が出たのだ。ワースト3は、広東菜、カイラン菜、ホーリーバジル(ガパオ)だ。
そう、LOSTの種明かし、アンジーが消えた理由とは、十分な休息時間を取らず仕事のし過ぎで、体が悲鳴を上げ、十分な免疫力が無かったことに加え、出所を知らないまま毎日食べていた農薬混じりの食べものによって、血中の農薬濃度が上がり中毒を起こしてしまっていたのだ。気付くのが遅ければ、命にもかかわる重大な病気だ。
アンジーの役は、ジェーンジャンことジェースパー・クルアテンというアイドルによって体内に農薬が溜まった患者として演じられた。肌には水疱が出来、彼女のアイドルとしての真実の姿からはひどくかけ離れたものだった。このドラマで患者役を演じることに決めた彼女の決意には感服する。アンジー役のジェーンジャンにより迫真に迫る演技はとても素晴らしいものだった。ジェーンジャン自身、この役柄を演じて以降、毎日食べている食事の素材がどこから来たものなのか、以前より気にするようになったという。
LOSTの監督は、ナッタポン・ピンペットと言い、子どもの頃から食べることが好きで真摯に向き合ってきた。ナッタポン自身、農薬に汚染された食物により影響を受けた一人である。その経験から、このドラマにおいてストーリーの展開や農薬中毒による影響について、忠実に描写出来ていた。
ドラマOPEN MIND PROJECTは、実際には、農業協同組合省によるものであったということが明かされたばかりだ。国民一人一人が、食べることにより意識を向け、安全な食事が重要であることに気づいて欲しいというもので、消費者がこの点について留意するようになれば、農家も有機農業や安全な農業による食材の栽培にモーチベーションを持つよう促す助けにもなる。
なぜなら、冒頭で述べたように、最終的に農業にまつわる事柄は、我々全ての人にまつわる事柄でもあるからだ。全ての農家が無農薬野菜を栽培するようになるには、我々消費者が、協力してこそ、起こり得るものなのだ。
OPEN MIND PROJECT - LOST
ライター
パーラニー・ルートワタナーソンバット
フリーライター
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