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海外からインスパイアされる農業:湯布院#1



九州は、日本の南に位置し、非常に広い範囲で農業が行われている場所だ。

日本全体を見渡しても、消費目的から商業的目的まで、広く農業が行われている。しかしながら、今日は、消費や商業的目的の農業からエコツーリズム農業へと変身させた「湯布院」という町の話を紹介したい。


湯布院は、九州・大分県の盆地に位置する、多くの人々に愛される町だ。周りを高い山に囲まれているために、移動では山の稜線を伝い、トンネルをくぐり、非常に遠く感じられるが、周囲に広がる景色によって心が励まされ気分も良くなり、距離が近く感じられるようになってしまうほどだ。この町は、四季折々の美しや、特に日本有数の温泉地として名高く、金鱗湖の美しさも素晴らしい。


湯布院のリーダーは、長期的な視野を持ち、自然資源の有益性を見越して、温泉という特性は昔ながらの形態を残し、エコツーリズムの町へと転身させた。足るを知るように、人々の訪問を歓迎し、機会を奪わない。従って、ホテルや宿泊施設は、数が限られており、自転車を借りて町中を走って周るのは、しっとりとした湯布院の小さな通りを隅々まで探索するのに欠かせないアクティビティだと言える。


大分では、OVOP(一村一品)運動と呼ばれるプロジェクトがあるが、これは大山町の住民たちによって行われたプロジェクトで、梅や栗の木を植えることや、農業加工品を奨励した。町内や道沿いで、数百単位の数で売れる品物も発生した。これにより、収入が増え、大都市への町民の流出を削減することとなった。このOVOPモデルを、タイでOTOP(一村一品運動)というプロジェクトで、すなわちOVOPのタイ版として、展開していった。


九州は畜産が盛んな土地で、神戸牛や松阪牛が世界でもトップクラスのものとして知られているが、湯布院で「和牛の父」と呼ばれる豊後牛は、世界的にもA5グレードというプレミアムが付いている。Aの各種グレードについては以下の通り。




しかし、A5 レベルの牛肉は、松阪や神戸だけではなく、他の地域のものもある。日本人にとってA5の牛肉は、豊後牛のように、先に挙げた2つの牛肉よりも所によっては有名だということがある。


大分県の牛肉は、大分で飼育された3才未満の黒毛種で、2007年に登録され、販売や飼育は、全農JAに協力を仰ぎながら行い、2013年には、県下全体の商品に同一名を持たせるべく、ブランドを「おおいた豊後牛」と統一した(豊後とは現在の大分県の古い名称)。この牛肉は、特に大分県や福岡県、または、九州地域内のデパート等、九州でのみ調達できるものだ。



このような美味しさの背景を持つ牛肉を食べずにはいられない、と、店の最上級プレミアムグレードのものを注文した。きめ細かなサシは、熱を受けると非常に芳醇な香りを放つ。湯布院を訪れる観光客のほとんどが、一生に一度は、とこのブランド牛を注文し、舌鼓を打つのも納得だ。数年前にも九州で最上級の牛肉を食べたことがあるが、今回のこの牛肉は、それに負けるとも劣らない。しかし、この和牛の父としてその名に相応しいか否かの判定をするのであれば、個人的な嗜好として、10点満点としたい。


このように、畜産に真剣に取り組んだ結果、世界的に品質を誇る牛肉を生み出すことが出来た日本の事例を見て、飼育する上で与える餌も、品質の重要な一部となっていると思った。我々のタイを見てみよう。その動物が食べたものは、巡り廻って我々にたどり着く。現在では、家畜の餌に抗生物質の注入をすることに反発する声が大きくなっており、これに合わせて、野菜の栽培や家畜の飼育も清潔で安全であることが重視されるようになってきた。将来、安全で持続可能な食物供給源として、タイが世界初の100パーセントオーガニックの餌で飼育した牛肉で名を上げる、といったことも有り得ない話ではないのだ。。


 

ライター

ナタポーン・ピンペット

クリエイティブ/話し手



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