お菓子とは、特に女性にとって欠かせないものだ。しかしご存知だろうか?一人のふつうの男性が、スイーツ作りに恋をして、その夢をかなえるためにアメリカに渡り修行した。その後、ユニークで見た目に美しく、シンプルな味で、老若男女問わず、見た目でもその味でも幸せをもたらしてくれるお菓子を生み出すタイを代表するペーストリーシェフとなったのだ。
今日私たちは、JWマリオット・バンコクホテル(スクンビット通りソイ2)のBBCOレストランにてシェフ・ジーことチョーティパット・ライスワンにお話を伺う機会を得た。シェフ・ジーには7つの質問に答えていただきながら、私たちがスイーツの世界について教えていただき、理解を深めたいと思う。
ペーストスリーシェフとは?なぜシェフになったのでしょうか?
以前の私は、夢がありませんでした。自分が何を求めているのか、分かりませんでした。大学で経済学を学び、卒業後は、保険会社に就職し、様々なトレンドについて分析するアシスタントマネージャーになりましたが、これは自分の好きなものではない、自分が求めるものを探したいと思い、2年で辞めました。その後アメリカに渡り、始めは英語の学習をしながら、レストラン内でウェイターのアルバイトをしました。そこから少しずつ料理に馴染みを持つようになっていき、自分は手仕事が好きなのだということに気付き始めました。それで写真の勉強をしたりしました。ある日、フィラデルフィアのフードショーで、ペーストリーシェフがお菓子を作るのを見て、これだ、料理の中に芸術を織り込んでいくというお菓子作りこそが、自分が好きなものなのだ、そして自分の職業にできるものだと直感しました。それからというもの、技術を高めるべく、真剣にお菓子作りを勉強しました。周囲からのコメントを聞いても、ますますこの道こそが正しい自分の道なのだ、と確信することが出来ました。
タイ人のお菓子の食べ方はアメリカと異なりますか?
基本的に、経験、食べ物の選び方、味など、地域によって食文化は異なるものです。例えば、タイ人はフルーツがふんだんに使われたお菓子が好きですが、西洋人は、果物とお菓子は別のものであるとして、フルーツを使ったお菓子を好みません。タイに戻って間もない頃は、こうした点を注意深く観察して、お菓子作りに活かすようにしました。
タイは常夏の国ですが、このような高温の地域でも材料を調達することはできるのでしょうか。また、質はどうでしょうか?
アメリカのホテルチェーン、マリオットホテルのシェフとして、全ての素材の品質は最も重要と言えます。ご利用になられるお客様は、素材についての造詣のある方々なので、手を抜くことはできません。料理の素材について私が他の店で食事をして感じたことは、今日世界は繋がっており、世界中から食材の調達をすることは可能であるということです。どのような食材を求めたら料理の価格に見合うかということよりも、各レストランのシェフがそれぞれ求めるものの方が重要だと思います。
お菓子と文化は関連していると思いますか?
関連しています。お菓子と料理は文化と共に長い時間共存してきました。すべての文化には料理があります。クリスマスや感謝祭などのお祭りは、季節と共にやって来ますから、料理の種類も季節に応じて変わっていきます。タイでも様々なお祭りがあり、それぞれの料理の材料も、その時々の旬のものが使われています。
人々の痩せることへの志向はお菓子の作り方に影響していますか?
炭水化物や砂糖を食べない方がいるので、我々も特別なお菓子を用意します。これも一つのチャレンジと言えますね。でも本来お菓子とは、純粋に食べたいと思うもの。運動し健康に注意しながら、食べるものだと思うんですけどね。
タイのお菓子の材料では、何が最も特別だと思いますか?
タイでは、様々な種類の果物が一年を通して食べられます。これが強みとなって、色々なお菓子を作り出すことが出来ます。タイ人として、タイ産の素材については熟知していますから、海外から来ているシェフに対するアドバンテージにもなりますね。
10年間シェフとして見てこられて、今後タイ人のお菓子を食べることへの価値観はどう変わると思いますか?
私は、変わらないと思いますね。タイ人は、新しいものを受け入れやすい性格です。見た目やカラフルさで惹かれるような、何か新しいトレンドがあると分かれば、皆でそれを追い求めます。しかし食べてみて美味しくないと分かると、もう次にそれを食べることはありません。味こそが、いつの時代においても一番重要なものであり続けるのです。
タイには、シェフ・ジーがお菓子にして食べて欲しいと思う興味深い素材がまだまだある。そのうちの一つが、タプティム・サイアムという名の赤いトウモロコシだ。タイ人が品種改良したもので、火を通さず生のまま食べられ、甘さも栄養も豊富で、健康志向の人にも勧められる素材だと言える。近い将来、シェフ・ジーによるタプティム・サイアムを使った新メニューが食べられるかもしれない。
最後にシェフ・ジーより、消費者の皆さんへ。
「私は人が食事をするとき、料理はエンターテインメントであって欲しいと思います。食べて美味しい、幸せだ、と思ってもらえたら、私も幸せになれるのです。」
ライター
ナタポーン・ピンペット
クリエイティブ/話し手
インタビューした人
シェフ・ジー チョーティパット・ライスワン
JWマリオット・バンコクホテル エグゼクティブ・ペーストリーシェフ
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